■結婚力養成講座
■ふっくらとした通称「仲人の達人」加代子先生が、声をひそめて、ささやいた。
「秋山(仮名)さん、それにしても、今日まで独身でよかったですね!」
思わず、一段高いキーで問い返した。
「はあ?」
(今まで独身で肩身が狭かったから、お世話になっていたのに)
「独身だったからこそ、こんなに素晴らしい、あなたに
ふさわしい方に今日お会いできたわけですから。」
「まあ、そういう言い方もできるんですかね・・・。
何か、照れますねえ」
言い終わらない内に、秋山は飲み残していたコップの水をグイッと呑み込んだ。
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■皆さま、はじめまして、良家のご子息、ご令嬢のご縁談を
取りまとめさせていただいて、もうかれこれ20年になります
福田加代子(仮名)と申します。
こういうと、年がバレてしまいますわね。
■ところで、せん越ながら私ども結婚の仲人の役割って、
何だとお思いになられます?
■ご結婚の仲人をするっていうのは、実は、皆さまに
「ご結婚相手の紳士淑女をご紹介申し上げる」
っていうことだけでは、ないんでございます。
■本当はですね、
「ここに、微力ながら、あなた様のご縁談を応援している
私たち仲人がいますわよ、あなた様は、決して一人ぼっちじゃないんですのよ」
ってお声を掛けてさしあげることなのです。
お仲人でも、最初から最後までお見合いの席にはいませんし、
いたくありませんわ。
お見合い・ご交際は皆さま方、独身者さまのものでございます。
思慮深い私としては、そこにズカズカ踏み込むような、
ぶしつけなことはしたくありませんの。
■その代わり、前もってご面談で、メールで、お電話で、
お手紙であなた様を応援させていただきます。
「ここに私たちがいますわよーっ、あなたは一人ぼっちじゃないんですのよーっ」
って感じでございますね。
■だから、心強いなあっていうか、ひとりぽっちじゃ
ないなあっていうか、そんな気持ち、チョットでも
あなた様がお感じいただけたら、涙が出るほど、うれしう存じます。
◆でもう、お見合いなされるあなた様が一所懸命
がんばっていただけないと、正直、私のようなものでも、
やはり、応援する気、なくなってしまいますわ。
■プロの仲人などと、偉そうに申し上げましても、
所詮、切ったら血の出るオバサンでございます。
■お断りになる、先方さまから断られる、お相性が合う
■合わないとかではなくて、一所懸命にお励みいただかないとねえ、
「なんとなぁく」お見合い、「なんとなぁく」おつきあいでは、
やっぱり私でもだめなんでございます。
「お見合いでしか、結婚できない惨めな私」
「仕方がない、お見合いでもやってみるか」
は、ご勘弁していただけませんでしょうか(怒)!
■仲人の私どもが皆さまにご提供出来ますものは、
ご結婚へのチャンスだけでございます。
■あとは、皆さま各自でそのチャンスを掴み取っていただくために、
必死に動いていただきたいと、申し上げたいのです。
■ですので、あなた様がご自分からお求めにならないうちは、
その間は、仲人というものは、残念ながら、
ただ見てるしかないんでございます。
■それが、なんて申しましょうか、あなた様への私からの、
ささやかな「やさしさ」だからと、年がいもなく思っておりますのです。
■結婚するお相手が赤い糸で結ばれていらっしゃるように、
結婚希望の独身者さまとお仲人も、いわば、「黄色いリボン」
で結ばれていなければ、結婚というゴールにたどりりつけない
のではございませんでしょうか。
しあわせの黄色いリボン・・・何ちゃって。
■いつかは、この幸せの黄色いリボンも、仲人である私の手から離れて、
すてきな王子さま、王女さまとつながれますことでしょう。
■でも、今日のこのお見合いにたどりつくまで私たち、
あなた様と仲人が共に歩んできたという事実は消え去る
ことはないはず、決してないはずでございます、でしょ。
◆あなた様のご結婚相手を手にお入れなさるのは、
仲人ではなくあなたご自身ですよ。
■あなた様の未来の素晴らしさをハッキリとご覧になるのは、
仲人ではございません。
あなた様です。
■あなた様の新しいご家族を創るのは、わたし、仲人ではありません。
あなた様です。あなた様の未来は、あなた様が決めてお創りになられるのでございます。
■あなた様の周りの豊かさにお目を見開かれて、ほんの少々、
お手をお伸ばしになれば、あなた様のものに確実になりますわよ。
以上、こ生意気なことを、「釈迦に説法」のようなことを、
長々と申し上げてしまいました。
謹んでお詫び申し上げます。
◆◆ 完 ◆◆
■このエピソードは、フィクション、ファンタジーです。
実在の個人、出来事とは一切関係がありません。
■まとめ
そう、今回も、今週もしつこく言いいます、何度でもハッキリ言います。
結婚できる二人は、一本の赤い糸で結ばれてるってわけです。
運命の赤い糸で結ばれた永遠のパートナーってことです。
その赤い糸が、もしかしたら、プッツリと切れてしまう
(離婚)こともあるでしょう。
■どちらかが、スルリと、不幸にも、不本意ながらも、
大事な赤い糸が手からはずれてしまう(死別)こともあるでしょう。
■それでもまた懲りずに(?)、他の誰かとその赤い糸を握り合い
(再婚)共に生きようとする。
■そしていつの日か、きっと、赤い糸が切れることなく共に
この地上を離れることのできるパートナーと巡り会える、
誰もがそう願っている、と信じたい。
誰でも、お互いが最初で最後のパートナーになりたいと思うものです。
■もし、迷ったらまぶたを閉じればいい。瞳を閉じれば、
二人を結んでいる赤い糸はハッキリ見えます。
■もし見えなかったら、もし見えなかったら、的外れな出会いだったのです。
的外れな出会いは、正直言って見苦しいものです。
■玉の輿、逆玉になって、大金や名声を結婚で得るというのを、
目的としてはいけません。
■まずは、今日のお見合いでお互いが出会えたことに対して、
心からの感謝をしましょう。
正直言って、欲の皮は突っ張らないでいただきたいです。
目をギラギラさせて、理想の結婚など、ねらってはいけません。
逆に、欲のない人こそ、結果的に、理想の結婚をしています。
不思議なものです。
■この地上でたったひとり、あなたと「結婚したい」という人が現れたら、
それはそれは、最高に幸せなことではありませんか。
自由に伸び伸びと、与えられたお見合いをしていただきたいものです。
そして幸せになっていただきたいと、心から祈ります。
■20代と違って、30代以降の結婚は、残念ながら
結婚の可能性が少しずつ、少しずつ減っていく世代です。
■失恋がクセになってしまったり、仕事依存、仕事中毒に
逃げ込んでしまえる世代です。
■だからといって、お見合いの失敗でも、おつき合いの失敗
に対する挫折でもいい、その挫折に、絶望してしまわないで
欲しい、その挫折を、真正面から受け止めて欲しい、
その心意気だけは、決して決して失わないでいて欲しいのです。
■今週は、それが出来る、あなたのために書きました。
■ハッキリ言って、これからは、結婚できる可能性の明かりは、
いつまでも無数に輝いているわけではありません。
「いつまでも、有ると思うな、親と縁談」
■でも、加齢という暗闇の中に瞬く明かりは、
むしろ若さというまばゆさに包まれている時よりも、
ぬくもりを感じさせてくれるものではないでしょうか。
▼結婚コンサルタント
■田代 ゆき生
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